発売日:2021/3/9
【制作】2021年
【著者】キム・イェジ
【翻訳】小田ミハル
【ページ数】214ページ
【サイズ】
【販売元】オーム社
<収録内容>
20代、女性、ビル清掃員。かつ、イラストレーター。
自他の偏見に悩みながらも夢と生計の二兎を追う、「幸せ」について考えつづけるエッセイ。
著者は20代半ばにして清掃の仕事を始めた。大人だもの、夢だけを追い求めるわけにはいかなかった。それで夢と生計を両方成り立たせてくれる職業として、「清掃員」を選んだ。職業というかたちで夢を追いつづけると生計を立てられないと考えた末の決断だった。
清掃員という職業は、著者本人にとってもなじみのないもので、他人が作り上げた偏見だけでなく、自らが作り上げた偏見とも闘わなければならなかった。初めはつらそうにばかり見えた仕事だったが、たくさん経験しながら考えさせられ、精神的にも成長し、ちょっとした話のネタにもできるようになった。清掃員として働くと同時に、夢みていた絵を描く仕事も始めた。もちろんすぐにイラストの依頼が舞い込むとはいかないけれど、収入は清掃員として安定していたので、自分のペースで仕事ができる。
この本には過去4年間、清掃員とイラストレーターの二足の草鞋を履きながら、著者が経験した人生のいくつもの瞬間が描かれている。いやな思いをする場面もたくさんあったことだろう、でも、著者はその時々を思い返しながらこう言うのだった。
「すこし変わった生き方をしてみると、思っていたよりも幸せでした」
本書を読んでみると、「違い」は「間違い」ではないということ、みんなそれぞれ違っていることでいろいろな幸せが生まれるということを感じられる。他の人とすこし違う生き方をしてみて、思っていたよりも幸せだという著者のことばのように。